考え方

「与えれば育つ」は本当か?研修を増やしても、組織が変わらない本当の理由

「研修をやっているのに、なかなか現場が変わらない。」

これは、多くの経営者や人事担当者からお聞きする悩みです。

・社員の成長を願い、新しい研修を企画する。
・新しい制度を導入する。
・新しい取り組みを始める。

会社は時間も費用もかけて、より良い組織を目指しています。
それでも思うような成果につながらないのは、なぜなのでしょうか?

以前の私は、「良い内容を伝えれば、人は変わる」と信じていました。だからこそ、学びが多く、すぐに実践できる内容を詰め込み、「これなら現場は変わる」と自信を持って研修を行っていました。

研修当日は、とても盛り上がります。

「今日の話は良かったです。」
「明日から実践してみます。」

そんな言葉をいただくたびに、手応えを感じていました。

ところが数か月後にお話を伺うと、思うように定着していないことが少なくありませんでした。

理由を聞くと、返ってくるのは決まってこんな言葉です。

「内容は本当に良かったんです。」
「でも、現場ではなかなかできなくて……。」

そのとき初めて気づきました。伝えることと、現場が変わることは、まったく別の話だったのです。

もちろん、学ぶ機会を提供することは大切です。
しかし、多くの企業が無意識に陥っているのが、

「良いものを与えれば、人は育つ。」という思い込みではないでしょうか?

知識やノウハウを次々に与え続ける。
新しい研修。新しい制度。新しい取り組み。

もちろん、一つひとつは間違っていません。ですが、それを増やし続けるだけでは、人は主体的には動かないと思います。

むしろ、

「会社が答えを用意してくれる。」
「言われたことをやればいい。」

そんな受け身の組織になってしまうこともあります。

経営者は未来を見ています。

だからこそ、「これも必要だ。」「あれも必要だ。」と、新しいことを考えます。
一方で現場はどうでしょうか。日々の業務に追われながら、

「また研修です。」
「また新しい取り組みです。」

と言われる。すると、

「またか……。」

そんな空気が生まれてしまうことがあります。内容が悪いわけではありません。
日々の業務の中で、受け入れる余白がないのです。

私たちが大切にしているのは、新しいことを始める前に、まず整理すること。です。

例えば、

・本当に今の課題は何なのか。
・これまで何をやってきたのか。
・成果が出たものは何か。
・続かなかった理由は何か。
・今やっていることで、やめられることは何か。

これらを深堀し、整理しないまま新しい施策を重ねても、現場は疲弊してしまいます。

時間は有限です。
新しいことを始めるなら、そのための時間をどう生み出すのか。
何をやめるのか。ここまで考えて初めて、新しい取り組みに対して前向きな姿勢が生まれるのではないでしょうか?

もう一つ大切なのは、「納得感」です。
会社がどれだけ正しいことを言っても、理屈だけでは、人は動きません。

・なぜ今それが必要なのか。
・会社は何を目指しているのか。
・そのために何をやめるのか。
・会社としてどんな支援をするのか。

そこまで共有されて初めて、「だから必要なんだ。」という納得感が生まれます。
納得感があるからこそ、人は自分で考え、自ら動き始める。

私たちはそのように考えています。

弊社は、いきなり研修をご提案することはほとんどありません。

まず取り組むのは、組織の現状を整理すること。
そして、これまで取り組んできたことを一緒に棚卸しします。

何がうまくいったのか。
何が続かなかったのか。
本当の課題はどこにあるのか。
現場は何を感じているのか。

そして、新しい取り組みを始めるために、何をやめるのか。

ここまで整理してから初めて、次の一歩を考えます。だから私たちが提供しているのは、研修そのものではありません。

組織が自ら考え、自ら動き出すための土台づくりです。

私は以前、「良い内容を伝えれば組織は変わる」と思っていました。しかし、多くの現場と向き合う中で分かったことがあります。人は、動かないのではありません。

動けない状態になっていることが多い。

だからこそ必要なのは、知識を増やすことではなく、

現状を整理し、過去を振り返り、優先順位を決め、納得感をつくること。
その土台ができて初めて、研修や制度は本当の成果につながります。

組織は、「与える量」で変わるのではありません。
自ら考え、動ける環境をつくれたとき、本当の意味で変わり始める。

もちろん簡単なことではありませんが、私たちは、その最初の一歩となる「組織の土台づくり」を、まずは一緒に考え伴走できるパートナーでありたいと考えています。

些細な疑問やご相談があれば、一度ご相談ください。

関連記事

TOP