「勉強になりました」は嬉しい。でも……
セミナー終了後、参加者から、
「今日はとても勉強になりました!」
「すごく参考になりました!」
「さっそく実践してみます!」
そんな言葉をもらう。
講師としては嬉しい瞬間です。
参加者のために準備をして、有益な情報を伝え、満足してもらえた。セミナーとしては成功したように感じます。
しかし、もしセミナーの目的が、その後の個別相談や商品・サービスの受注にあるとしたら、少し考えてみる必要があります。
参加者が満足してくれたのに、なぜ相談につながらないのでしょうか?
実は、そこにはセミナー設計における重要なポイントがあります。
「重要だと理解すること」と「必要性を実感すること」は違う
例えば、運動をイメージしてみてください。
「健康のためには、適度な運動が大切です」
これは、誰もが理解していることですよね。では、実際に腕立て伏せを30回やってみてくださいと言われたら、どうでしょうか?
頭では大切だと分かっていても、実際にやってみると、思うようにできない人もいるはずです。
そして、できなかったときに初めて、
「思っていたより体力が落ちているな」
「これは、少しトレーニングした方がいいかもしれない」
と、運動の必要性を実感することがあります。
つまり、大切だと理解することと、自分に必要だと実感することは違うのです。
これは、ビジネスのセミナーでも同じです。
例えば、経営者向けに資金繰りのセミナーを開催するとします。
「資金繰りを把握することが大切です」
「早めに資金繰り対策をする必要があります」
こうした話を聞けば、参加者は「なるほど、重要だな」と思うでしょう。しかし、それだけでは、自分が今すぐ取り組む必要性までは感じてもらえないかもしれません。
そこで、実際に自社の数字を使って、資金繰りの状況を整理するワークを取り入れてみる。
すると、
「自社のお金の流れを、正確に把握できていなかった」
「このまま売上が落ちたら、何か月持ちこたえられるだろう?」
といった気づきが生まれるかもしれません。
知識として聞いていた話が、自分自身の問題に変わるのです。
セミナーで大切なのは、正しい知識を伝えることだけではありません。参加者が自分の問題として実感できる機会をつくることなのです。
セミナーに「体験」を取り入れる
では、どうすれば参加者に必要性を実感してもらえるのでしょうか。
その方法の一つが、セミナーにワークを取り入れることです。
講師が一方的に知識を伝えるのではなく、参加者自身に考えたり、試したりしてもらう。
例えば、
- 自社の課題を整理してもらう
- 実際に解決策を考えてもらう
- ケーススタディを使って判断してもらう
- ロールプレイで実践してもらう
こうした体験を通じて、参加者は自分の理解度や実践力を確認できます。
そして、実際に取り組んでみることで、
「頭では分かっていたけれど、実際にやるのは難しい」
「何から手をつければいいのか分からない」
「自分だけでは判断できない」
といった気づきが生まれることがあります。
ここが重要です。
知識を聞くだけでは気づけなかった課題が、実際にやってみることで見えてくるのです。
あえて「できない」を体感してもらう
ワークを取り入れる際に、もう一つ意識したいことがあります。
それは、あえて参加者に難しい課題に取り組んでもらうことです。
もちろん、参加者を困らせたり、失敗させたりすることが目的ではありません。大切なのは、実際に取り組むことで、自分に足りないものや、一人で解決する難しさに気づいてもらうことです。
例えば、リーダー向けのセミナーで、部下との難しいコミュニケーションをロールプレイしてもらう。
すると、
「相手にどう伝えればいいのか分からない」
「自分ではうまく対応できない」
といった課題が見えてくるかもしれません。
そこで初めて、コミュニケーションの知識を学ぶだけでなく、実践的なトレーニングや専門家の支援が必要だと実感できます。
ただし、難しい課題を与えるだけでは不十分です。なぜうまくいかなかったのか、何が必要なのか、どうすれば改善できるのかまで振り返ってもらうことが重要です。
「できなかった」という体験を、「だからこそ学ぶ必要がある」という気づきにつなげる。
これが、ワークを設計するうえでのポイントです。
無形商材だからこそ、擬似体験が重要になる
この考え方は、特に士業やコンサルタント、研修講師など、無形商材を扱う専門家にとって重要です。
例えば、洋服や家電であれば、実物を見たり、試したりすることで、購入する価値をある程度判断できます。
しかし、コンサルティングや研修、専門家による支援は、形がありません。顧客は、サービスを受けることで何が変わるのか、どんな価値が得られるのかを、購入前にはイメージしにくいものです。
そこで有効なのが、擬似体験です。
例えば、
- コンサルタントなら、実際の経営課題に近いケースを考えてもらう
- 研修講師なら、ロールプレイを通じて自分の課題を体感してもらう
- 税理士なら、簡単な数字を使って資金繰りをシミュレーションしてもらう
このように、実際のサービスに近い体験を提供することで、参加者は自分の課題や専門家の支援の価値を具体的にイメージしやすくなります。
無形商材は、説明するだけでなく、価値を体感してもらうことが重要なのです。
「自分では難しい」が「相談したい」に変わる
ここまでの流れを整理すると、
セミナーで知識を得る。
↓
実際に自分で取り組んでみる。
↓
自分の課題や、うまくできない部分に気づく。
↓
解決するために必要なことが見えてくる。
↓
「自分の場合はどうすればいいのだろう?」
「専門家に相談した方がいいかもしれない」
という気持ちが生まれる。
もちろん、ワークを体験したからといって、必ず相談や契約につながるわけではありません。
大切なのは、参加者が自分の課題を理解し、解決に向けて専門家に相談する価値を感じられることです。
つまり、無理に商品を売り込むのではなく、参加者自身が必要性に気づけるように設計するのです。
セミナーは「教える」だけでなく「実感してもらう」場
セミナーというと、専門知識やノウハウを分かりやすく伝えることに意識が向きがちです。
もちろん、それも大切です。しかし、参加者が知識を得て満足するだけでは、その後の行動につながらないことがあります。
だからこそ、
「何を教えるか」だけでなく、「何を実感してもらうか」
を考えてみてください。
参加者に気づきを与え、自分自身の課題を認識してもらい、解決に向けた次の一歩を考えてもらう。
そうすることで、セミナーは単なる情報提供の場から、個別相談や商品・サービスにつながるきっかけへと変わります。
私たちPhase Shiftが大切にしているのは、セミナーを開催すること自体ではなく、その先の行動につながる設計です。
「勉強になりました」で終わるのではなく、
「もっと詳しく聞きたい」
「自分の場合も相談してみたい」
と思ってもらう。
知識を伝えるだけでなく、必要性を実感してもらう。
それが、成果につながるセミナーをつくるための重要なポイントです。
もしも、セミナー作りにお悩みがあればぜひこちらからご相談ください。