当たり前すぎて伝えていないことに、実は価値が眠っている。
これは私たちが大切にしている考え方の1つです。どういうことか?
「うちの会社は、他社と似たような商品を扱っているから、差別化が難しい」
「同業者も同じようなサービスを提供しているし、価格で比較されてしまう」
「自社の強みと言われても、特別なものなんてない」
会社経営をしていると、こんな悩みを感じることはありませんか?
特に、同じ業界で長く仕事をしていると、自分たちが提供している商品やサービスは、どこも似たようなものに見えてきます。
製造業なら、同じような製品を作っている会社がある。
建設業なら、同じような工事を請け負っている会社がある。
士業なら、同じような専門サービスを提供している事務所がある。
「結局、うちも他社もやっていることは同じだよね」
そう思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
本当に、提供している価値まで同じなのでしょうか?
商品やサービスが似ていることと、価値が同じことは違う
例えば、同じ商品を扱っている会社が2社あるとします。どちらも同じような商品を販売していて、価格も大きく変わらない。
一見すると、違いがないように見えます。
しかし、実際にお客様が感じる価値はどうでしょうか?
- 問い合わせへの対応が早い
- 専門的なことをわかりやすく説明してくれる
- 購入後のサポートが丁寧
- 特定の業界や用途に詳しい
- 困ったときに相談しやすい
- 社長や担当者の考え方に共感できる
こうした違いは、商品そのものに書かれているわけではありません。でも、お客様が会社を選ぶ理由になることがあります。
つまり、商品やサービスが似ているからといって、会社の価値まで同じとは限らない。
大切なのは、自分たちが提供している価値を整理し、それをお客様に伝えることです。
あなたにとっての「当たり前」は、お客様にとっての価値かもしれない
ここで、少し視点を変えてみましょう。
会社の中には、長年の経験や日々の仕事を通じて、自然と身についた知識やノウハウがあります。
でも、それを社長や社員が、
「そんなこと、うちの業界では当たり前だよ」
「これくらい、普通にやっていることだから」
と考えてしまうことがあります。
しかし、その当たり前は、お客様にとって本当に当たり前でしょうか?
例えば、製造業であれば、
- 他社が難しいと言う加工にも対応できる
- 納期が厳しい案件でも、長年の経験で対応できる
- 特定の業界の製品づくりに詳しい
- 品質管理に独自の工夫がある
こうしたことは、社内では「いつもの仕事」かもしれません。
でも、お客様からすれば、
「そんな加工ができるんですか?」
「この業界に詳しいんですね」
「そこまで対応してくれる会社は少ない」
という価値になる可能性があります。
また、建設業であれば、
- 現場での対応力が高い
- 特定の工法や建物に詳しい
- 工事後のメンテナンスまで丁寧
- 地域の事情を理解している
これも、会社にとっては当たり前の仕事かもしれません。
しかし、お客様にとっては、十分会社を選ぶ大切な理由になる可能性があります。
自分たちが当たり前だと思っていることの中に、実は他社との違いが眠っているのです。
例えば、士業なら「税務申告をする」だけではない
ここで、士業を例に考えてみましょう。
税理士、社労士、行政書士、司法書士、弁護士など。
それぞれの専門家には、資格や業務の特性によって、提供するサービスが似ている部分があります。
税理士であれば、
「税務申告をする」
「決算書を作成する」
「税務相談に対応する」
こうした業務は、多くの税理士が提供しています。そのため、「税理士はどこに頼んでも同じでしょ」と思われてしまうこともあるかもしれません。
しかし、実際にはどうでしょうか?
例えば、ある税理士事務所が、
- 税務調査の経験を豊富に持っている
- 特定の業種の会社を長年支援している
- 決算書の数字から経営課題を整理している
- 社長の資金繰りや利益の残し方まで相談に乗っている
- 事業承継について、早い段階から一緒に考えている
こうしたことを行っていたとします。
これらは、その先生にとっては、いつもの仕事。
「税理士なら、それくらいやるでしょ」
そう思っているかもしれません。でも、経営者からすれば、
「税務申告だけでなく、経営の相談もできるんだ」
「この業界に詳しい先生なら、安心して相談できそう」
「もっと早く相談すればよかった」
と感じるのです。
ここで大切なのは、他の税理士がやっていないことを無理に作ることではありません。
すでに自分たちが提供している価値を、整理して、わかりやすく伝えること。
それによって、お客様から見た会社の違いが、初めて認識されることがあります。
同業なら当たり前のことでも、「最初に伝えた人」が選ばれる
世の中には、専門家にとっては当たり前すぎて、誰もわざわざ発信していないことがあります。
例えば、税理士であれば、
「利益と現金残高は同じではない」
「売上が増えても、利益が残るとは限らない」
「決算書は、作って終わりではなく、経営判断に使うもの」
こうしたことは、専門家にとっては常識。
でも、経営者の中には、知らない方もいます。
知っていても、具体的にどうすればいいかわからない方もいます。
そこで、その情報をわかりやすく整理し、発信する。
さらに、継続的に伝えていく。そうすることで、
「このテーマなら、この先生」
という認識が生まれる可能性があります。
「税務調査のことなら、あの税理士」
「社員数50名以下の会社の経営相談なら、あの会社」
「特定の加工技術なら、あの製造会社」
「地域の建設事情に詳しいのは、あの会社」
こうした認識は、必ずしも新しい商品を開発しなければ生まれないわけではありません。自分たちが持っている知識や経験を整理し、発信し、見える化する。
その積み重ねによって、自分たちの専門性が認識されていくのです。
強みは「持っているもの」ではなく「認識されているもの」
ここで、会社経営者の皆様にお伝えしたいことがあります。
あなたの会社には、すでにたくさんの強みがある可能性があります。
- 長年の経験
- 特定業種への対応実績
- 難しい案件を解決してきた経験
- お客様との長い付き合い
- 独自の技術やノウハウ
- 他社にはない対応力
- 社長や社員の人柄
- 地域で積み重ねてきた信頼
でも、それらはちゃんとお客様に伝わっているでしょうか?
また、ちゃんと伝えているでしょうか?
例えば、30年間、地域の会社を支えてきた税理士。税務申告だけでなく、事業承継や資金繰りについても相談に乗ってきたとします。その先生にとっては、「昔からやっていること」「いつもの仕事」。
しかし、お客様から見れば、
「30年間、地域の会社を見てきた経験がある」
「税金だけでなく、会社の将来も相談できる」
という価値になる可能性があります。ここで大切なのは、実績をただ並べることではありません。
その経験が、お客様のどんな悩みを解決できるのかを伝えることです。
「30年の経験があります」
だけではなく、
「30年間、地域の会社を見てきたからこそ、数字だけではわからない経営の変化にも目を向けます」
と伝える。
同じ経験でも、伝え方によって、お客様が感じる価値は変わります。
価値を整理すると、商品単価にも影響する
「でも、そんなことを発信したところで、料金は上げられないでしょ?」
そう思われる方もいるのではないでしょうか?
もちろん、情報発信をしたからといって、必ず単価が上がるわけではありません。しかし、お客様が感じる価値が変われば、サービスの見られ方が変わる可能性があります。
例えば、
「税務申告をしてくれる税理士」
と、
「会社の数字を整理し、社長の意思決定を支援してくれる経営パートナー」
では、同じ税理士でも、相談する目的が変わってきます。
前者は、税務申告という業務に対する対価。
後者は、経営の悩みを整理し、判断を支援することへの対価。もちろん、実際に提供するサービスや成果、契約内容に見合った価格設定が必要です。
ですが、ここで考えたいのは、
「何をやっているか」だけでなく、「お客様にどんな価値を提供しているか」を整理すること。
その価値が伝われば、単なる業務の価格比較から、提供する価値に対する判断へと、見られ方が変わる可能性があります。
ブランディングとは、ロゴやホームページをきれいにすることだけではありません。
自分たちが提供している価値を整理し、お客様に認識してもらうこと。
その結果として、選ばれ方や価格の考え方が変わっていくこともあります。
今日からできる「当たり前の価値」の見つけ方
では、実際にどうやって、自分たちの当たり前を強みに変えていけばいいのでしょうか?
まずは、次の質問に答えてみてください。
質問1:お客様から、どんなことで感謝されますか?
「社長に相談してよかった」
「そんなことまで教えてくれるんですね」
「おかげで安心しました」
「もっと早く相談すればよかった」
こうした言葉の中に、あなたの価値が隠れているかもしれません。
質問2:同業者なら当たり前だけど、お客様は知らないことは何ですか?
専門家にとっては常識でも、お客様には難しいことがあります。それを、誰でも理解できるように伝える。
それだけでも、情報発信のテーマになります。
質問3:自分たちが、他の会社よりも多く経験していることは何ですか?
「特定の加工技術に強い」
「特定の業種を長年支援している」
「税務調査を数多く経験している」
「地域の事情を熟知している」
こうした経験は、単なる実績ではなく、専門性の根拠になります。
質問4:その強みは、お客様のどんな悩みを解決できますか?
ここが重要です。
「経験があります」で終わらせず、
「その経験によって、お客様は何が変わるのか?」
まで考えてみてください。
強みは、経験そのものではなく、その経験が生み出す価値として伝えることで、よりわかりやすくなります。
あなたの会社の当たり前は、まだ誰かに届いていないかもしれない
会社経営をしていると、つい新しい商品やサービスを開発したり、他社にはないことを始めたりしなければ、差別化できないと考えてしまいがちです。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
自分たちがすでに持っている経験や知識、ノウハウ。そして、日々当たり前に行っている仕事。
そこに、まだ伝えきれていない価値があるかもしれません。
大切なのは、
- 自分たちの経験を整理する
- お客様にとっての価値を言葉にする
- わかりやすく発信する
- その価値を継続的に伝える
こうした取り組みです。
特別なことを始める前に、まずは自分たちがすでに持っているものを見直してみる。そこに、他社との違いが見つかるかもしれません。
あなたにとっての当たり前は、誰かにとっての「この会社にお願いしたい」につながるかもしれない。
ぜひ一度、自分たちの「当たり前」を見つめ直してみてください。
Phase Shiftは、社員数50名以下の会社を専門に、経営者の意思決定を支援する経営パートナーです。
売上・組織・利益。会社を経営する上で、切り離せない3つのテーマを整理し、社長が次の一手を決められるようにサポートします。
「うちの会社の強みが整理できていない」
「自分たちの価値を、どう伝えればいいかわからない」
「サービスはあるけれど、価格競争になってしまう」
そんなお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。
社長の考えが整理されれば、会社は動き出す。
Phase Shiftは、経営者の皆様の意思決定を支援します。